文化財について |
幾多の年月は、残された大きな建物が本来朱彩に覆われていたことなど忘れさせてしまうほど、周りの環境に溶け込んだ美しさを醸し出しています。時の流れは、大きな伽藍を覆うまでに巨木を繁らせ、清閑な空気が凛と張り詰めた頂点に、現在も国宝の本堂と三重塔が寺域を見渡すようにそびえています。
本堂 |
国宝建造物
正嘉2年(1258)鎌倉時代中期 再建
単層入母屋造 檜皮葺
大正12年解体修理
桧皮を葺いた落ち着いた傾斜の屋根をのせた純粋な和様建築で、中世密教寺院の本堂として典型的な五間堂の姿を伝えています。
三重塔 |
国宝建造物
文永7年(1270)鎌倉時代中期 再建
三間三層 檜皮葺 総高22.26m
昭和32年解体修理
上層へ行くにしたがって寸法を減らす均衡のとれた構成が優美な姿を造り出し、純和様の三重塔としてより整った美しい姿で知られています。
本堂内須弥壇中央には、平安時代後期造立の半丈六の薬師如来(やくしにょらい)、両脇には巨大な降三世明王(ごうざんぜみょうおう)と深沙大将(じんじゃたいしょう)の像が林立し、通常密教寺院でも見られない独自の雰囲気と威厳が漂っています。
深沙大将 |
重要文化財
平安時代後期 作者不詳
一木造 像高2.54m
玄奘三蔵が天竺へ行く途中、砂漠に現われ守護したと伝えられている仏教の守護神で、日本国内では作例が少ない珍しい仏像です。
本尊 薬師如来 |
重要文化財
平安時代後期 作者不詳
一木造 像高1.34m
当寺のご本尊になります。別名「医王」とも呼ばれ、衆生の病気を治し、安楽を与える仏様として民間でも非常に親しまれてきた仏様です。
降三世明王 |
重要文化財
平安時代後期 作者不詳
一木造 像高2.50m
密教特有の五大明王の一尊で、煩悩を打ち払う智慧と力の仏様になります。開口怒号の相がより力強さを感じさせる迫力の巨像です。
不動明王 |
重要文化財
平安時代後期 作者不詳
一木造 像高1.60m
五大明王の中心となる明王で、 特に日本においては根強い信仰を得ており、「お不動さん」の名で親しまれている仏様です。
明通寺の不動明王は明治時代に火災で焼失し、当時羽賀寺に移されていた旧松林寺の本尊の脇仏であった像を譲り受けたものです。
文化財指定区分 |
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国宝 |
本堂 (ほんどう) 鎌倉時代 三重塔 (さんじゅうのとう) 鎌倉時代 |
重要文化財 |
薬師如来坐像 (やくしにょらい) 平安時代 降三世明王立像 (ごうざんぜみょうおう) 平安時代 深沙大将立像 (じんじゃたいしょう) 平安時代 不動明王立像 (ふどうみょうおう) 平安時代 如法経料足寄進札 (きしんふだ) 400枚余 鎌倉~江戸時代 ※一部拝観可 |
県指定文化財 |
彦火火出見尊絵巻 (ひこほほでみのみこと) 全6巻 江戸時代 ※拝観不可 |
市指定文化財 |
山門 (さんもん) 江戸時代 金剛力士立像 (こんごうりきし) 鎌倉時代 |
市天然記念物 |
かやの大木 樹齢およそ500年 ※2021年老朽により倒木 |